高麗人参は朝鮮人参と全く同じものです。 その歴史の深さ故に各地域で様々な呼び名があり、全てあわせると名前は数百になるとも言われています。
しかし、スーパーなどで購入できる比較的親しみ深い 緑黄色野菜のニンジンとは全くの別物です。
高麗人参はウコギ科の多年草植物であり、朝鮮半島が発祥地と考えられています。 日本ではオタネニンジンとして知られている傾向があります。
含有成分であるサポニンはジンセノイドとも呼ばれ、種類も量も豊富です。 サポニンの特殊な働きから、特別な薬草・漢方薬として扱われており、 様々な症状を改善し、美容にも効く「万能薬」として活躍します。
植物としての特徴は下記の通りです。
種まきから3年ほど経ったくらいに花が咲きます。 果実は初めは緑色ですが、次第に赤みを帯びていきます。
中には種子がはいっており、非常に固いという特徴を持っています。 採取は4年目から行うのが一般的です。
葉は双葉という特徴を持っています。 手のひらの様なカタチをしているため「掌葉」とも呼ばれます。
また、葉柄は一年に一つずつ増えていくという特徴があり、 六年根には6つ、四年根には4つの葉柄があります。
1つの根からは、一つの幹しか生えてきません。 すらっとした細い幹で、まっすぐに生えてきます。
人のような形をしているのが特徴的ですね。 それ故に「人参」という名前がついたとも考えられているそうです。
主に摂取するのは「根」の部分であり、もっともサポニンが豊富に含まれています。
脳頭・胴体・足・尾という4つの部位に分けられるという特徴があり、 人の形に似たものほど品質が高いと言われることもあります。 また、高値で取引されるのも人の形に似たものです。
高麗人参の歴史は長く、少なくとも二千年以上前には生薬・漢方薬として使われていたと考えられています。
これは中国最古の薬学書「神農本草経」に掲載されているという事から判明しており、当時から、薬草のなかでも特に優れたものとして扱われていたようです。
歴史的に有名な人物も好んで摂取していたという記録があり、日本では徳川家康が、中国では秦の始皇帝が代表的な例として挙げられるでしょう。
中国では、高麗人参のことを「仙薬」や「幽薬」という名前で呼ぶこともあったそうで、その効果の高さが神秘的なまでの印象を与えていたということも、うかがい知ることが出来ます。
この他にも、万能薬や不老長寿の薬と呼ばれていたそうです。
実は、高麗人参は最近になるまで、 非常に高価な食べ物として扱われていました。
その最大の背景にあったのが栽培の難しさだったのです。 栽培のサイクルは六年根をつくる場合は20年かかるとも言われていて、これは、収穫前の土つくりに3年、収穫後に土地が潤うまでに10年かかるからだそうです。
高麗人参は、土地の栄養を全て吸い上げて栄養価に変えていくため、 収穫後には土地の栄養がカラカラの状態になっているのです。
そんな凄まじい生命力を持っているからこそ、 様々な効果と効能が期待できるのかも知れません。
また、本来はアジアの一部にのみ自生していた希少な植物ですから、 栽培する「土地選び」も非常にシビアになってきます。
日よけや風通しなどの環境を十分に整えなければ、 すぐにダメになってしまう為、大量生産が難しいとされているのです。